15のアメとムチ
司令部の二階にあるもう誰も使っていない元実験室は逢引にぴったりの場所で。
俺と大将は事あるごとにそこにいた。
「なぁ」
そう呼びかけると俺の中心に頭を埋めていた大将は不機嫌そうに視線だけを寄越した。
行為に集中していない俺が気に入らないのかそれとも単にアゴがだるいのかは分からないが機嫌はよろしくなさそうだ。
それでも俺の呼びかけに答えるように大将はちゅぽんと卑猥な音を立てて俺の陰茎から一旦口を離した。
垂れ流れる唾液を舌で舐め拭って、摩擦で少し赤く染まったその唇を妖しく動かす。
「なんだよ、もう奉仕はイラネーって?」
でもまだ物足りなさそうだけど、と呟いて大将は所在なさげに揺れている塊を見た。
浅黒くさらに大将の唾液とおれ自身の先走りでヌラヌラと照った欲望は重力に逆らって今にもはち切れんばかりだ。
「全然足りねぇよ」
「じゃぁ止めるなよ」
「下のクチがいいんだけど」
「今日はしねぇって言ったろ」
だからさっきから代わりに口でやってやってるだろうがとジロリと下から睨まれた。
「何でだよ大将〜」
「昨日無茶したから」
拗ねる俺にあっさりと自身の浮気を口にする。
とはいえ俺たちの関係は恋人同士なんていうものではなくそれが浮気か本気かなんてのは区別のしようもない。
俺も浮気はしょっちゅうだけど、大将には本気なんだと告白したがそれを信じてくれているのかどうかは不明だ。
「もういいだろ?続けるぞ?」
言うが早いか大将は怒張した塊に再び口を近づけた。
先端の敏感なくぼみに温い舌を這わせ入れる。
少しばかり厚めのその舌は俺の陰茎には不釣合いなほど小さくしかし同じぐらい卑猥であった。
すでに溢れ出す先走りを零すまいと吸い取るように蠢く。
時々偶然を装ったように軽く歯を立ててくるところが憎い。
思わず、15のくせにと呟いたら大将はニヤリと笑った。
「その15の餓鬼に舐められて悦んでるのはどこのどいつだよ」
口にその欲望を咥え込んだままモゴモゴと喋るその振動がダイレクトに快感になる。
俺は上手い答も返せぬままぐぅと唸って、襲ってくる快感の波をやり過ごした。
「粘るね、少尉」
陰茎を横から齧るように舐めながら大将は上目で笑った。
「大将ヤラシー顔」
ほんのり上気した頬と潤んだ目に酷くそそられる。
ねじ伏せて無理やりにでも犯したいとも思ったが、大将の場合二度と触れさせてくれないかもしれない。
俺は我慢してこの快感を追うことにした。
「ん、少尉も、かなりエロい顔。何考えてる?」
「何も。大将のことしか考えてないよ」
「何か白々しー」
そう言いながらも声が僅かに弾んでいる気がするのは、希望的観測だろうか。
そんな事を考えている間にも大将はその熱塊を口腔に含みまるでチューペットを食べているようにしゃぶっていた。
その気持ちよさに少しだけ悔しくなって大将の頭を押さえて一寸腰をグラインドさせてみる。
大将の口腔はねっとりと潤っていて殊の外気持ちが良い。
だが口腔を無理にかきまわされ案の定喉の近くに当たったのか大将はウッとえずいた。
そのままひとしきり噎せた後、俺は大将にジロリと睨まれる。
「何すんだよ」
「や、わりぃ、つい」
ここで止められるとさすがにツラい俺は素直に謝った。
「あんたのデカイんだから余計なことすんな」
それとも噛み切られたいかと真顔で問われる。
俺は返事の代わりに大将の頬を軽く撫で続きを促した。
大将も俺の限界が近いことを感じ取ったのか、再びおとなしく顔を埋めた。
しゃぶりながらも手も使い俺の陰茎を余すところなく刺激する。
付け根からそれを舐め上げられるとブルリと射精感が襲ってきた。
「ったいしょ…もイキそ」
「ん」
いつものようにそのまま飲み込もうとする大将の堪えるように震える睫毛が可愛くて、俺は射精する直前に陰茎を引き抜いた。
驚き顔の大将に思い切りぶっかける。
久しぶりだったせいかほとんど透明感のない白濁液が大将の顔をベタベタに汚した。
恥辱にまみれた幼顔は酷くいやらしく、再び淫欲が頭を擡げる。
大将は驚きで暫く固まっていたが、状況が分かると呆れたように俺を見上げた。
「顔かけるなら言ってよ…」
「いや、急にかけたくなって」
目に入ったら痛いだろと文句を言いながら大将は俺の差し出したハンカチで顔を拭った。
「濃いね」
口元に残ったそれをペロリと舌で味わって大将は笑った。
「美味いだろ?」
俺は冗談気味に声をかける。
「ん…まぁ、あの牛から出た白濁したものよりは美味い」
そうあっさりと言ってのける。
実際問題精液が美味いハズもないが、大将の場合牛から出た白濁液よりはと本気で美味いと思っているに違いない。
その牛乳の嫌いっぷりにはある意味感動する。
俺はすでにベタベタのハンカチで陰茎を軽く拭ってズボンにしまった。
大将も立ち上がって大きくノビをする。
その仕草はやはり15歳の少年そのままで先ほどの淫行が錯覚かと思うほど清清しくその変貌には目を瞠る。
「大将って…淫乱ちゃん?」
「誰が淫乱だ、誰が。俺だって欠片も好きじゃ無いやつとヤるほど乱れてねぇよ」
そのことばに俺は間抜けな顔をさらす。
「あれ?大将来るヤツ拒まずとかじゃなかった?」
「はぁ?そんなワケないだろ!少尉俺のこと何だと思ってんの」
「えっと淫乱ちゃん」
そのことばに呆れたように大将はため息をついた。
そうすると俺は大将に好かれていると考えて良いのだろうか。
「大将は俺のこと…?」
「好きだぜ?知らなかったのか?」
大将は再び呆れながら肩を竦めた。
まさかの両想いだったのかと考え湧き上がる喜びにひたる間もなく大将はいそいそと身支度をしている。
「もう行くのか?」
「アルと待ち合わせしてるから。次は西の方に行くんだ」
「そっか」
また当分会えないのかと俺は少し落胆する。
「そんな落ち込むなって少尉。その間お互い他の好きなヤツとやればいいだろ?」
「他の好きなヤツと?」
「そ。俺もあんたも好きな人がいっぱいだと大変だよな」
しみじみと言う大将に、俺はがっくり項垂れた。
やはり大将は大将だった。
好きなヤツは俺一人じゃなくて、俺は好きなヤツの分類に分けられているだけらしい。
やっぱ淫乱ちゃんじゃねーかと俺は独りごちる。
しかも俺の浮気も本気と思っているようだ。
一歩も二歩も先を行かれる感覚に眩暈がする。
「あ、少尉」
部屋から出る直前大将が思い出したようにコチラを振り返った。
「んあ?」
「俺今回二ヶ月行くんだ。今日と同じ日帰って来るから予定空けとけよ?」
じゃぁまたなと軽やかに言い残し大将は部屋をあとにした。
俺はことばの意味を反芻して不覚にも吸おうと手にした煙草を落とした。
早く会いたいと、大将も思ってくれているのだろうか。
我知らず緩む頬を掻いて煙草を拾う。
なんつーアメとムチだよ。
「…15のくせに」
敵わないほど大人びた少年を思い描いて、俺は小さく笑った。
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生尺ってみました、しかもハボの方を。結構あっさりですみません;何かダメでした。
私はエドをよがらせたいというより、エロいエドを見た攻めが興奮するとこが好きな模様。